フリーランス新法で何が変わる…?その背景と目的を徹底解説!
フリーランスとして働くあなたへ。
フリーランス新法とは「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」の略です。
新法で何が変わるのか、今回の記事を読んでいただくとその疑問が解消します。
フリーランスが増加する要因について
現在、フリーランスの方は全国で500万人はいるのではと推定され、今後ますます増加するのではと思われます。
まずはフリーランスが現在増加傾向にある現状について説明していきます。
①
働き方改革の推進で、多様な働き方へのニーズが高まりフレックスタイム制、リモートワークなど柔軟な働き方が導入されたことにより、フリーランスという働き方がより魅力的に見える人が増えていきました。
また、企業の副業解禁で、本業を持ちながらフリーランスとして働く方が増えたことも要因となります。
➁
IT技術の発展で場所を選ばずに仕事ができる環境が整ったことも要因の一つです。
また、ロボットの進化により単純作業が自動化され、専門的なスキルを持つフリーランスの需要が高まりました。
➂
上場企業でも行き詰まりなどから、倒産したり人員削減などがあり終身雇用制が幻想になってきたことから、自己実現やワークバランスを重視する人が増えてきたことも要因の一つです。
また、人員削減などによりひとつの選択肢としてフリーランスが選ばれるようになりました。
④
フリーランス向けのマッチングサービスなどが充実し、仕事を探すことが容易になってきたことも要因の一つです。
⑤
自由な働き方へのあこがれがあり、場所や時間束縛されず好きな仕事をしたいという人が増加したことも要因の一つです。
おおよそ以上5つの要因がフリーランスが増加している要因となります。
働き方の選択肢として「フリーランス」として働くことが以前と比べると環境が整い、選択のハードルが下がったことが大きな要因となります。
フリーランスが抱える問題点
~なぜフリーランス新法が必要になったのか?その要因とは?~
働き方の一つとして選びやすくなった「フリーランス」ですがやはりまだまだ課題は多いです。
まさにこの問題点こそがフリーランス新法が必要になった要因となります。
① 契約トラブル
委託者との間で契約内容や報酬に関するトラブルが発生しています。
しかし、フリーランス側がトラブルに対する法的知識が不足していることが多く、不利な条件での契約を締結せざるを得ないという状況があります。
➁ 収入の不安定性
仕事の量が変動するため、収入が安定しません。
フリーランスは自身で営業をかけるため仕事量をある程度、調節ができますがそれでも常に仕事がある状態を保つことは非常に難しいです。
➂ 社会保障に関する問題
健康保険や年金はすべて自己が負担することになり、将来の年金受給でも不利な状況に置かれています。
④ 絶えず営業活動をし仕事を探していかなければならない。
企業に属している場合と異なり、仕事が舞い込んでくるわけではないため、仕事を取るために自身で営業をかけていく必要があります。
⑤ 仕事とプライベートの管理が難しい
フリーランスは企業に属しているわけではないため、決まった労働時間がありません。
そのため、長時間労働になりやすく、長時間労働による健康管理の問題があります。
⑥ 自分独自で勉強をしなければいけない
企業に属している場合は、研修や教育を受ける機会も多いのですが、フリーランスは独自にスキルアップをしていかなければなりません。
フリーランス新法で解決すること
フリーランス新法はフリーランスと発注事業者の間の取引がより透明化され、フリーランスの労働環境が改善されることが期待された法律です。
主に発注側である企業に対する制約となり、今まで曖昧だった部分が明確化されております。
発注事業者(企業など)に対する義務
① 書面による契約内容の明示
報酬額、支払時期、業務内容など、契約の重要な事項を書面で明確にする必要があります。
口頭での契約や曖昧な契約は原則禁止となります。
➁ 報酬の支払期限
原則として、業務完了後60日以内(再委託の場合も同様)に報酬を支払う必要があります。
遅延した場合には、遅延損害金の支払義務が生じる可能性があります。
➂ 募集情報の的確な表示
フリーランスを募集する際に、虚偽や誤解を招くような情報で募集することは禁止されます。
報酬額や業務内容など、求職者が判断するために必要な情報を正確に表示する必要がありま
す。
④ ハラスメント対策
フリーランスに対するパワハラやセクハラなどのハラスメント行為を禁止し、防止するための措置を講じる必要があります。
⑤ 適用範囲
「特定受託事業者」と呼ばれる、従業員を使用せずに事業として業務を受託する個人事業主などが対象となります。
フリーランスは、従業員の雇用などがなく1人であること。ただし労働時間が週20時間以下または31日以上の雇用見込みのない者は従業員には該当しません。
偽装フリーランスの問題点
フリーランスと発注企業の問題は契約や営業だけではありません。
その問題の一つが「偽装フリーランス」です。
偽装フリーランスとは、独立して自律的な立場にあるはずのフリーランスが、労働者と変わらない条件で働いている状態のことです。
企業は、人件費削減のため非正規労働者やフリーランスを利用しております。
労働者として雇用契約を結んでいれば、時間外労働の割増賃金や休暇の取得、解雇、労災などの雇用制度の提供が必要になります。
また労働基準法が定める労働条件の最低基準、労働安全衛生法による労働者の安全と健康の確保なども、労働者を守る手立も講じなければなりません。
一方、フリーランスは表面上労働者ではないため、労働基準法を始めとする雇用制度の提供は必要ありません。企業にとって、労働基準法の適用や社会保険料の事業主負担をせずに安価で利用できる労働力となる点が、偽装フリーランスの問題です。
フリーランスと労働者の違い
フリーランスと企業に属する労働者では何が違うのでしょうか?
下記にてまとめてみました。
フリーランス | 労働者 | |
契約形態 | 業務委託契約(請負契約・委任契約) | 雇用契約 |
契約の法的根拠 | 民法 労働基準法 | 労働契約法 |
業務の指揮監督 | 発注者による指揮監督は不可 | 企業による指揮監督が可能 |
適用される法律 | フリーランス・事業者間取引適正化等法、 独占禁止法、下請法 | 労働基準法、労働契約法、 最低賃金法、労働者派遣法 |
就業規則の適用 | 適用されない | 適用される |
勤務場所・時間の指定 | 契約条件による (通常は自由) | 企業により指定可能 |
フリーランスと労働者の主な違いは、契約形態の違いです。
フリーランスは、一般的に発注者と業務委託契約を結びます。
法律に「業務委託契約」の項目はありませんが、民法の「請負契約」や「委任契約」の要素が業務委託契約に該当します。
フリーランスは発注時の契約条件にしたがって業務を行い、発注者は勤務場所や業務手順の指揮監督を行ってはなりません。
業務委託契約では労働関連の法令は適用されず、フリーランス・事業者間取引適正化等法や独占禁止法、下請法の適用を受けます。
一方、労働者が企業と締結する契約は雇用契約です。
企業は、就業規則などにより、従業員に対して業務内容や就業場所、就業時間や業務手順などの指揮監督が可能です。
雇用契約では、労働基準法や労働契約法、最低賃金法や労働者派遣法などの適用を受けます。
なお、フリーランスは特定の組織に所属せず、単発の案件を受注し、それを繰り返し行う働き方に対し、個人事業主は、税務署に開業届を提出した人をいいます。
よって、フリーランスの人が税務署へ開業届を提出した場合は、個人事業主になります。
偽装フリーランスと見なされるケースは?
偽装フリーランスかどうかは、そのフリーランスの「労働者性」で判断されます。
労働基準法では、「指揮監督下の労働」と「報酬の労務対償性」の2つの基準を使用従属性として重視しており、そのほかの要素と総合的に勘案して労働者性を判断します。
フリーランス法でフリーランスの労働状況が改善される…?
フリーランス新法が誕生した背景には、フリーランスが抱える様々な課題と、社会全体の意識の変化があったことが背景にあります。
フリーランス新法は、フリーランスの労働環境改善に向けて大きな一歩を踏み出しましたが、まだ課題も残されています。
例えば、フリーランス側としては、すべてのフリーランスを網羅できていない、契約形態によっては適用除外となるケースがあるといった内容。
企業側では、契約書の作成など、新たな負担、法律の遵守状況を監視する体制の構築が必要です。
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