最近は、会社でも副業を認めるケースが増えております。
会社で働きながら余暇を利用しバーチャルオフィスを利用しネットショップやフリマアプリ、ココナラなどで自分のスキルを販売することなどにより第二の収入を得ている方が増加致しております。
給与につきましては、会社で年末調整をすることにより、医療費控除などを受ける場合を除いて新たな税務申告は必要ありませんが、副業で得た収入につきましては一定額以上の場合は新たに税務申告をする必要があります。
長年副業で収入があるにも関わらずそのままにしておいて、突然税務署や区役所の税務課などから「所得について」のお尋ねがあるこがあります。
副業を始めた初期の場合は、収入も税務申告が必要になる一定額以下の場合が多いのでそのままで良かったのですが、年々収入も増え会社の給料よりも多くなったなどと喜んでいたその時、税務署や区役所の税務課などからお尋ねがあったらどうします…?
そのまま放っておくと本来の所得税以外に加算税や延滞金などの罰金的な税金も徴収されることになり、得た収入の全額に近い額を徴収されることになりますので、副業を始める場合は税金についても常に意識しておく必要があります。
雑所得20万円申告不要ルール
どのような場合新たに税務申告をする必要がないのか?
その前に雑所得とは、ネットショップによる収入、ココナラなどの得意を販売した場合の収入、自家用車など自分の資産を貸し付けたことによる収入、ビットコイン等の暗号資産売却による収入、民泊による収入などから生まれる利益(収入-経費=所得)を雑所得といいます。
(1)
会社員で1箇所からのみ給料をもらっていて、給与所得の年末調整をした方で雑所得が20万円以下の人
(2)
会社員で2箇所以上から給料をもらっている人で、メインの会社以外の給料と雑所得の合計が20万円以下の人は雑所得があっても税務申告の必要はありません。
しかし、このような人でも「医療費控除を受ける」「上場株式の譲渡損を繰り越す」「住宅ローン控除の初年度の申告」等の際などは税務申告が必要になりかつ少額な雑所得がある場合はそれも他の所得に含めて申告をする必要があります。
又住民税(区民税や市民税など)には雑所得20万円申告不要ルールはありませんので、所得がある場合は区民税の申告等が必要になります。
雑所得の計算方法
ネットショップなどの所得は収入-経費から求められます。
収入は売上やそれ以外での入金になりますが経費は販売をするための全ての費用になります。
例えばネットショップでの経費の内容としては…
①商品の仕入れ代金
②商品の保管のための倉庫料
③サーバーの使用料やドメイン代
④ネットショップ運営のための販売手数料
⑤ネットショッ運営のための文具ダイヤ書籍代
⑥ネットショップ運営のための広告代
⑦ネットショップ運営のための机や椅子、PCなど
⑧ネットショップの作業をご自宅で行う場合の家賃や光熱費代
※ネットショップ用の費用と家事での必要な費用の按分が必要
⑨ネットショップの所在地としてのバーチャルオフィス利用の際の料金
申告の際、青色申告と白色申告では経費にできる金額が異なる場合がありますので注意してください。
以上の内容から雑所得を計算し、20万円以下であるかどうかで申告の要否が決まります。
税務調査
いろいろな資料や情報から、申告納税に疑いがあると税務署が判断いたしますと、事前の準備を行い、お尋ね書を送ったりまた実際に現地の調査を実施することになります。
通常ですと電話で「○日に税務調査に伺います」というふうに税務署の調査官より連絡が入ります。
通常ご自宅で通信販売を行っている場合ですと、ご自宅に訪問いたしますが、バーチャルオフィスなどを事務所に使用している場合などはバーチャルオフィスで調査を受けることも可能です。
調査は通常の場合ですと2日間くらいの予定で1~2名の税務職員で10:00頃より16:00くらいの間で行われるのが一般的です。
途中、12:00くらいから昼食を取るため1時間位外出し、戻ってから午後の調査が行われます。
調査の際、お茶をお出しするのは問題ありませんが、昼食や高価なお茶菓子などを用意することはNGです。
もし出されても通常は手を付けることはありません。
又調査の際、雑談を通して調査のポイントなどが聞けることもありますので、そのような機会を利用してどこに疑義を持たれているのかなどを知ることは対応に当たり大変参考になります。
調査対象に選定する際は、税務署として納税申告に関して不正や間違いがあるのではないかとの疑念を持って訪れておりますので、そのポイントががわかればその疑念を解決するような資料の提出や説明をすることによりより効率的に調査が行われ、短期間で税務調査が終了する場合もあります。
バーチャルオフィスの会議室などを利用して調査を受ける場合は、税務署が予定している調査期間バーチャルオフィスの会議室等が使用できるか事前に確認し確保することが大切ですが、都合がつかない場合は日程の変更を相談することも可能です。
又、バーチャルオフィスで税務調査を受ける場合は一般的に保管義務のある書類や伝票類を前日までに揃えて準備しておくとスムーズに調査を受けることができます。
青色申告を行っている場合は、帳簿類や領収書、請求書、預金通帳など定められた資料は事前に用意がされていなければなりませんが、税務申告の必要性もわからず、税務調査を告げられた場合などは何を準備したら良いのかさえもわかりませんので、どのような資料を準備したら良いかなど税務署担当者に聞いて事前に用意すると、調査当日書類を探したり後日提出することになったりすることが避けられます。
通常ですと、収入の状況や収入に対する経費の状況を聞き取り、その内容が確認できる領収書や銀行の預金通帳、仕入先からの請求書などを提出していただき確認していきますので、これら資料を時系列や顧客先又は仕入先別に整理しておくと調査をスムーズにすすめることができます。
しかし、初めから申告納税について全く予想してない場合などは、これら資料の保存や保管なども行われていない場合が多く、断片的な資料をつなぎ合わせて収入がこのくらいあったはずですので、利益(所得)はこのくらいあったと思われますという、いわゆる推定課税により納税を求められる場合があります。
このような状況を回避するためにも、何らかの収入がある場合はその収入に関するメモや領収書などの資料を残す習慣を持つことが大切で、必ず税務申告の要否も検討しなければなりません。
調査が完了して、税務申告に間違いがあった場合は「修正申告」をし、不足税額を納付する必要があります。
この際、本税以外に重加算税(35%又は40%)、過少申告加算税(本税の10~15%)、無申告加算税(本税の15~20%)や延滞金という罰金を徴収されますので、想定以上の納税額になります
税務申告をしていない場合には、無申告加算税(本税の15~20%)や仮想隠蔽があったと判断された場合などは重加算税(35%又は40%)も徴収されますので、所得金額の最高90%近くの納税が必要になります。
その後も納付がされないと納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは原則7.3%、2ヶ月を経過した日以後は原則14.6%の金利が別途かかりますので所得の100%以上の納税が必要になり大きなダメージを被ることになります。
加算税の計算
例えば100万円の所得が税務調査で判明した場合。
1,000,000円✕15%(所得税+住民税)=150,000(通常の税額)
①税務申告をしていない場合
無申告加算税
150,000✕15%=22,500円
納付する税額:150,000+22,500=172,500円
②期限内に申告をしたが税務調査で事実の仮装・隠蔽を指摘された
重加算税
150,000✕35%=52,500円
納付する税額 150,000+52,500=202,500円
これ以外に延滞金がかかります。