インボイス制度での免税業者選択、その選択本当に大丈夫ですか?

2023年10月1日より始まりましたインボイス制度ですが、それまでに免税業者を選択するか課税業者を選択するか色々悩んだことと思います。

年間の売上が1,000万円以下の人の場合、免税業者となり消費税の納税の必要はありません。

しかし、年間の売上が固定的に1,000万円以下であるなら悩みもしませんが、1,000万円のライン上にある人の場合、いつ課税業者になってしまうのか不安はありますが、現時点では、免税税業者でいる選択のほうが有利なようです。

免税業者の場合でも10月1日以降も従前同様な区分記載請求書を発行することにより消費税を含めた売上金額を支払うところもありますし、消費税を含めた全額は支払わないが、2023年10月より2026年9月までの期間の消費税の2割特例が適用されている期間内は消費税の8割までは支払うというところもあります。

これを具体的に説明いたしますと、10月1日以降免税業者Bが取引相手Aに本体価格10,000円、消費税1,000円の商品を販売して11,000円を請求した場合、次の3つのケースが有ります。

①請求通り11,000円を支払うケース

この場合、Bは免税業者ですので適格請求書の発行ができませんので、Aは、Bに11,000円を支払ますが、仕入税額控除ができないため、結果11,200円支払うことになり、200円余分に支払うことになります。

2割特例がありますので、Aは課税取引にかかる消費税分のうち8割を控除して2割のみ支払うことになります。

しかし、Bには従前同様11,000円が入金になり、又免税業者ですので消費税の支払はありませんのでBは免税業者の選択が正解であったことになります。

②11,000円の請求のところ、2割特例がある期間はBに対して10,800円を支払い、消費税として別途200円を納付する。

この場合ですとAは消費税の200円とBに支払った10,800円合計11,000円を支払うことになり、当初の請求書どおりですので損得なしです。

しかし、Bは免税業者ですので消費税の支払は免除されますが本来11,000円の請求のところ10,800円しか入金にならず、200円損をすることになります。

AにしてみればBは消費税の支払が無くその代わりAが消費税分の200円を支払うことになるので、200円分は支払わないと言われてしまいますと取引を断られるより200円の損害であるならと了解するでしょう。

結果やや不利になりますが取引を断わられることよりは有利になります。 

③消費税分1,000円分を減額してBに10,000円を支払う。

この場合ですと、Aは2割特例がありますのでBに対して10,000円と別途消費税として200円納付し合計10,200円を支払いますが、元の請求金額からしますと800円得をしてしまいます。


Bに対する支払いが初めてである場合であればそれでも許されるでしょうが、継続して取引がある場合には同じ取引で急に1,000円手取りが減額してしまうことは、独占禁止法の優越的地位の乱用に該当する事になりますので違法です。

このように考えますと、従前の区分記載請求書を出すことにより、従前同様または2割手取りが少なくなりますが、免税業者であるにも関わらず取引がなくなることもなく取引が継続するようであれば、Bは免税業者を選択したことは間違いでなかったと言えます。

一般的には、AはBが特殊な商品やサービスを販売しているのでなければ、請求金額以上の負担をしてまで取引を継続することは無いでしょうから、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの課税期間内は、2割特例があるのでそれほど大きなな負担にはなりませんので、継続取引にメリットを感じている場合はBとの取引は継続されるでしょう。

そのため、Bは2割特例の適用のある期間はそのまま免税業者を継続するほうが有利ですが、2割特例の課税期間が終わる令和8年9月30日以降は免税業者を継続するか再度検討する必要がでてきます。

2割特例の課税期間が終了した後も5割特例が更に3年間継続いたしますが、Aも消費税分の5割まで負担してもBと取引を継続するかは、特殊な関係がない限り困難かと思われますので2割特例の課税期間が終わる段階での再検討が必要になります。

課税業者が免税業者から課税取引をした場合の2割特例とは

2割特例は、課税業者が2023年10月1日以降免税業者と課税取引があった場合は、課税業者は適格請求書が無いため、課税仕入れ分の消費税を別途納付しなければならないのですが2割特例により、2割分の消費税を別と納付すれば足りるという激変緩和処置です。

免責事業者を選択した場合で、請求金額の内容次第で様々なパターンが想定されます。

今回はその具体的な内容について解説してみましたがいかがでしたでしょうか?

バーチャルオフィス東京・銀座では今後もバーチャルオフィスをご利用になる個人事業主や小規模事業所の方に、時々の話題の中から参考になる情報を発信していきます。

バーチャルオフィス東京・銀座への問い合わせ等は下記よりお願いいたします。