税務調査でよく問題になる「会議費」について

税務調査でいつも問題になる会議費の計上には注意が必要です。

会議費について

会議費とは?

会議費とは、会社の経営に関して行われる社内外の会議や打ち合わせの際に
必要となる費用のことです。

具体的には、会議を開催する会場の費用や資料代、飲食費などが含まれます。

ここでいつも問題になるものが、会議の際に提供される飲食費です。

法人税法上、中小法人の場合の交際費として計上できる金額は、年間800万円です。

800万円を超える交際は経費として認められないため、800万円超の交際費はできるだけ計上したくないという思いが強くなります。

800万円超の交際費の分、法人の所得が増えてそれに対する法人税の納付が必要になりますので、飲食代に関しては、限度規定のない会議費に計上したいと思うようになり、安易に会議費として計上したものが税務調査の際に問題になるのです。

会議費に関しては、社内会議や社外関係者との会議において、簡単な飲食が供与されることは社会一般で広く行われておりますし

国税庁も【租税特別措置法関係通達 61の4(1)-21】で会議に際して社内又は通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用は、「会議費」として計上することができる。

と認めておりますがこれには次のような状況が求められます。

「会議に伴う飲食支出」を会議費として計上できるのは

◯会議の付随的な支出であること
◯会議が実際に行われたという「会議の実体」が存在すること
◯その支出金額が一般的・常識的な範囲にあること

などの条件を満たすことが求められます。

その条件を満たす飲食支出である場合には…

社内会議の場合には、役員・従業員に対する「役員報酬・従業員給与」や「交際費」とはせず、社外会議の場合には、社外関係者に対する「交際費」とはせず、「会議費」として費用計上することが認められております。

会議の実態があるという証明のためには…?

会議の実態を証明するには「領収書」の裏面などに以下の事項を記載しておき、「会議があったこと」を説明できるようにしておくことが必要です。

◯会議の内容
◯会議の参加人数
◯会議の参加者の社名や氏名等

飲食の金額が、「会議に付随する飲食の範囲」を超えないこととは、税務上では、「会議費として計上できる金額」を具体的に規定したものは存在しませんがよく3,000円までであればとか5,000円までであればなどと言われますが必ずしもこのような基準が限度金額となるものではないことに注意してください。

(あくまで、状況に応じた常識的な範囲での金額であることが必要となります。)

会議費の基準の根拠について

これらの基準の根拠には次のようなものがあります。

3,000円基準の理由

「租税特別措置法関係通達61の4(1)-4,5」の規定に、「少額物品」の定義に「おおむね3,000円以下」という金額が明示されています。

これをもって、「会議費に伴う飲食支出」が「一人当たり概ね3,000円以下であれば、それほど高額とはいえないと考える」とする考え方です。

5,000円基準の理由

交際費のうち、社外の取引先等の接待等のために支出した飲食費(接待飲食費)については、一人5,000円以下である場合には、一定の要件を具備した上で、「交際費」とせずに「会議費」とすることができるとの規定があります。

このため、「会議費に伴う飲食支出」が「一人当たり概ね5,000円以下であれば、それほど高額とはいえないと考える」とする考え方です。

そのため、一般的に会議費を計上する場合、会議の参加人数に5,000円をかけた金額以下であれば、交際費でなく会議費として計上できるという認識があります。

酒の提供がある場合には、会議費として計上することはできない

昭和54年に上記規定が改正される前には、上記規定の中に、「酒類を伴わない飲食物」という文言が入っていました。

ただし、昭和54年の改正により「酒類を伴わない」という文言が削除されておりますので、ビール1~2杯程度の飲食であれば、許容されると考えられますのでその程度の酒類の提供でも会議費としての計上は可能です。

ただし、会議場所や飲酒程度が大きくなると、そもそも「会議の実体」の有無が問題視されてしまうことも考えられますので注意が必要です。

会議費についての税務リスク

会議費に計上していたものが税務調査で認められない場合は、色々な影響が考えられます。

①計上した会議費が私的飲食であると指摘された場合

「会議の実体」が明確ではなく、かつ単に特定の役員や従業員の私的な飲食代金
を会社が支払ったものにすぎない等と指摘され、「役員報酬」「従業員給与」で
あると認定された場合には、「法人税申告」「所得税の源泉徴収申告」「消費税
申告」等で、「税金の追加納付」が必要となる場合があります。

②「役員報酬」として認定された場合

「会議費」として計上していたものが、税務調査等で「役員報酬」として認定された場合には、当該部分は「臨時的な役員報酬の支払」となり、税務上、費用として認められないものとなります。

このため、法人税計算にあたり、費用の減少が生じ、結果「法人税」の追加納付が必要になります。

所得税の源泉徴収申告に関係するリスク

「会議費」として計上していたものが、税務調査等で「従業員給与」や「役員報酬」として認定された場合には、「従業員給与」や「役員報酬」の増加となります。

この結果、増加した「従業員給与」や「役員報酬」に対する「所得税の源泉徴収税」を追加納付しなければならないリスクが生じます。

消費税申告に関係するリスク

「会議費」として計上していたものが、税務調査等で「従業員給与」や「役員報酬」として認定された場合、消費税計算において「課税仕入」であったものが「非課税仕入」となる可能性があります。


この結果、消費税申告にあたり、「原則課税方式を選択している場合」には、増加した「従業員給与」や「役員報酬」に対する「消費税」を追加納付しなければならないリスクが生じます。

「会議の実体」がないと指摘された場合の税務リスク

「会議費として計上している金額」が税務調査等において、「飲食に対する支出」は、業務との関連性はあるが、「会議の実体」が明確でないと指摘され、「交際費」であると認定された場合には、「法人税申告」等で、「税金の追加納付」が必要となる可能性があります。

中小法人では交際費の限度計算により、交際費が経費に算入できない場合は、その分法人の所得が増加してそれに対する法人税の追加納付が必要になります。

会議費の計上には、上記のようなリスクがありますので、計上する際は慎重に判断する必要があります。

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バーチャルオフィス東京・銀座の『おまかせ経理の記帳代行』ではこれら会議費や交際費に関し慎重に判断して計上いたしております。

税務調査により後で指摘され新たな税負担が生じませんように『おまか経理の記帳代行』利用者とその支出の状況や、会議の実態を残すための手続きなどを厳密に行うよう協力いたしております。