バーチャルオフィスの個人事業主の税務調査対策とは

バーチルオフィスで起業している小規模個人事業主が、税務申告や税務調査に対して日頃より注意しなければならないこと、とは…?

今回は個人事業主の税務調査の対策についてお話していきます。

起業したての3年間くらいは、あまり経理や、税務申告なんか気にしないで、とにかく事業を軌道に乗せることに必死で、気がついたら肝心なことがお座なりになっていた経験がありませんか?

徐々に売上も増加してきて資金繰りも安定してきますので一息つける状況になりますが、ここで足元を見直さないとその後大変なことになってしまいます…

開業から4年目くらいになりますと、ある日突然税務署より「税務調査に伺います」との連絡があるかもしれません。

特に、個人事業主の場合は、7月から12月にかけての期間がこの税務調査の危険ゾーンです。

開業当初より、税理士に頼んで経理や税務申告を依頼している場合はまだしも、開業当初の資金繰りの厳しい中経理処理や税務申告を税理士に依頼する余裕もなくそのまままで気づいたときは遅かったということになります。

しかし、税務申告についての知識もなく、自己流で経理処理を行うことはナビ無しで目的地に向かうようなものでいつかは大変な事故に繋がる可能性があります。

そこで、個人事業主が日々の経理処理で特に気をつけておかなければならない事項を、税務調査の観点からいくつかご説明したいと思います。

◯領収書や請求書をきちんと保管する

帳簿の記載内容を裏付ける資料として、領収書や請求書などの証憑書類をきちんと保管する必要があります。

税務調査では、これらの書類の提出を必ず求められます。

近年では、会計ソフトに直接領収書などを取り込むことのできるものや、スマートフォンで撮影して保管できるものもありますので領収書や請求書は必ず整理、保管しておくことが大切です。

◯税務に関する知識を身につける

税務に関する知識を身につけておけば、税務調査の際に尋ねられたことにも適切に答えることができます。

また、税務調査で指摘される可能性のある事項を事前に把握して日頃より整理しておくことも大切です。

正確な税務や経理についての知識を持つことは難しいかもしれませんが常に関心を持ち、需要な事項については、税務署や商工会などの税務相談や講習会を通して知識を得ておくことは必要です。 

具体的には、以下の点を注意するとよいでしょう。

◯売上や経費の計上基準を正しく理解する

売上や経費の計上基準とは、売上や経費をどのタイミングで会計処理するかを定めたルールです。

売上や経費の計上時期が適切でないと、税務調査で指摘されたり結果新たな納税が必要になることもあります。

売上計上基準】

売上計上基準は、大きく分けて以下の3つがあります。

◯出荷基準:商品や製品が顧客に引き渡された時点で売上を計上する
◯検収基準:顧客が商品や製品を検収した時点で売上を計上する
◯使用収益基準:顧客が商品や製品を使用・収益を得た時点で売上を計上する

どの基準を採用するかは、事業の性質や取引内容によって異なります。

売上の計上基準である「出荷基準」を採用している場合は、商品などを相手に引き渡した時点が売上計上の時期になります。

例えば、イラストの制作などを依頼された場合などは全ての仕事が完了し、作品を相手方に引き渡した日が売上が実現した日になり、経理上売上を計上する日になります。

経費計上基準

経費計上基準は、大きく分けて以下の2つがあります。

◯発生主義:経費が発生した時点で計上する
◯現金主義:経費を支払った時点で計上する

発生主義は、会計上の慣行として一般的に採用されています。

経費とは売上を実現するために必要なすべての支出です。

代表的なものは、販売する目的で商品を購入した場合、その商品が手元に届いたときがその経費を計上するときです。(発生主義)

税務申告に際して、個人事業主の場合は、1月から12月31日の間で売上や経費を確定して利益(所得)がどのくらいあったかの計算をして税金を計算することになります。

そこで、これら売上や経費がいつ計上されるかは重要になります。

12月末の時点で商品は届いているが、売上としてお客様に引き渡していない商品がある場合これを棚卸し商品として、売上のための経費から除外しなければなりません。(売上が実現していないから)

又、例えばイラストの制作を依頼された場合でも、12月31日までにイラストが完成せず相手方に引渡が完了していない場合は、当然このイラストの売上は計上されません。(売上が実現していない)

そしてイラストの制作にかかったいくつかの材料費などは支出が済んでおりますので経費として計上されておりますが、売上が実現してないものに対する経費ですのでそれらの経費を除外して利益を計算いたします。

売上や経費の計上で税務調査の際に問題になる事項

税務調査では、売上や経費の計上基準が適切かどうかが重点的にチェックされます。

以下に、税務調査で指摘されやすい事項をまとめます。

◯売上の計上時期:期末付近に売上を計上していないか
◯経費の計上時期:発生主義を採用しているのに、現金主義的に計上していないか
◯売上や経費の金額:適正な金額で計上しているか
◯売上原価の金額:適正な金額で計上しているか
◯棚卸資産の数量や金額:適正かどうか

税務調査で指摘された場合、修正申告や追徴課税の対象になる可能性があり、意図的にこれらの計上をごまかしていたと認定されますと、重加算税という罰金も合わせて徴収されることになります。

税務調査対策

税務調査で指摘されないようにするためには、以下のような対策を講じておく必要があります。

◯売上や経費の計上基準を明確にする
◯適正な金額で売上や経費を計上する
◯原始資料を適切に保管する

特に、売上や経費の計上基準を明確にしておくことが重要です。
税務調査で質問されたときに、明確に答えられるようにしておくことが必要です。

それ以外税務調査で特に重点的に調べられる経費の内容としては以下のようなものがあります。

◯交際費、会議費

「交際費」とは、事業に関したお客様を飲食で接待したり、贈答品を購入するための費用のことです。
 

そのため事業に関係してない飲食代などは交際費に該当しないことは当然ですが、個人事業主が1人で利用した飲食代や事業に関係のない家族との飲食代なども交際費には該当いたしません。

ただし、法人の場合は代表者が1人でした飲食代でもそれが事業に関係している場合であれば交際費に該当いたしますのは、法人税と所得税の趣旨の違いです。

「会議費」とは会議に要した会場代や交通費などまた会議の際に提供された飲食のための費用です。

「交際費」や「会議費」には、飲食代が含まれるため事業に関係しないものも計上される可能性がありますのでその支出の証明をするためにも、領収書などの裏面に支出の目的、参加者名などを記載して置くことが必必要です。

(交際費や会議費の実態を証明する)

◯外注費や支払い手数料

「外注費」とは、他人に業務を委託してその報酬として渡すための経費です。

「支払手数料」も、外注費と同じように他人に業務を委託してその報酬として渡すための経費ですがより専門性の高い人達に対するものである違いがあります。

「外注費」や「支払手数料」が税務調査で問題になる場合としては、以下のようなものが挙げられます。

外注費か給与かの区別

「外注費」と給与は、税務上の取り扱いが大きく異なります。

「外注費」であれば、原則として源泉徴収は不要ですが、給与であれば、源泉徴収の義務が生じます。

税務調査では、「外注費」か給与かの区別が争点となることが多く、「外注費」として計上していたものが給与と判断された場合には、源泉徴収税額の追徴課税や延滞税、加算税が課される可能性があります。

「外注費」と給与の区別は、以下の5つの基準によって判断されます。

①業務の内容:外注先が独立して業務を遂行できるか
②業務の遂行方法:外注先が独自の設備や技術を用いて業務を遂行しているか
③業務の成果物:外注先が業務の成果物を所有しているか
④報酬の額:報酬の額が外注先の労務の対価に相当するか
⑤契約書の有無:外注先との間で請負契約を締結しているか

「外注費」として計上する際には、これらの基準を満たしていることを明確にしておくことが重要です。

適正な金額で計上しているか

「外注費」や支払い手数料は、適正な金額で計上する必要があります。

適正な金額とは、客観的な根拠に基づいて算出された金額のことです。

「外注費」や支「支払手数料」は利益調整のために利用される可能性があります。

多額の経費として計上することが可能だからです。

極端な場合、1人に何百万円もの「外注費」や「支払手数料」を支払ケースも考えられるからです。

税務調査では、「外注費」や「支払手数料」の金額が適正であるか又実際支払われたものであるかなどがチェックされます。

不適正な金額や不正な計上が行われている場合は、追徴課税や延滞税、重加算税などの罰金が課される可能性があります。

「外注費」や「支払手数料」を計上する際には、見積書や請求書などの書類を保存しておき、適正な金額で計上していることを証明できるようにしておくことが必要です。

原始資料の保管

「外注費」や「支払手数料」を計上する際には、請求書や領収書などの原始資料を適切に保管しておくことが重要です。

税務調査では、原始資料を提出するよう必ず求められます。

原始資料の紛失や破棄していると、税務調査で指摘される可能性がありますので、再発行が可能な場合などは事前に準備しておくことが大切です。

「外注費」や「支払手数料」に関する税務調査対策としては、以下のようなものが挙げられます。

「外注費」か給与かの区別を明確にする。

「外注費」と給与の区別を明確にしておきましょう。

「外注費」として計上する際には、上記5つの基準を満たしていることを明確にしておくことが重要です。

◯修繕費

「修繕費」とは、個人事業主が事業に必要とする有形固定資産(建物や車両、器具備品など)などを修理・改修するために支払った費用のことです。

「修繕費」には、機能維持や原状回復も含まれます。

主に、「修繕費」が問題になる場合は、賃貸収入などを得るために不動産業を行っている場合です。

「修繕費」か資本的支出かの区別

「修繕費」と資本的支出(元々ある機能にプラスするために支出した費用)は、税務上の取り扱いが大きく異なります。

「修繕費」であれば、原則として費用として経費算入できますが、資本的支出であれば、資産として計上する必要があります。

税務調査では、「修繕費」か資本的支出かの区別が争点となることが多く、「修繕費」として計上していたものが資本的支出と判断された場合には、経費算入ができず、追徴課税や延滞税、加算税が課される可能性があります。

修繕費と資本的支出の区別は、以下の基準によって判断されます。

その支出が、資産の価値を維持するために必要であるか
その支出が、資産の価値を増加させるものであるか
その支出が、資産の耐用年数を延長させるものであるか

「修繕費」として計上する際には、これらの基準を満たしていることを明確にしておくことが必要です。

適正な金額で計上しているか

「修繕費」は、適正な金額で計上する必要があります。

適正な金額とは、客観的な根拠に基づいて算出された金額のことです。

税務調査では、「修繕費」の金額が適正かどうかがチェックされます。

適正な金額で計上していないと、追徴課税や延滞税、加算税が課される可能性があります。

「修繕費」を計上する際には、見積書や請求書などの書類を保存しておき、適正な金額で計上していることを証明できるようにしておく必要があります。

原始資料の保管

「修繕費」を計上する際には、請求書や領収書などの原始資料を適切に保管しておくことが必要です。

税務調査では、原始資料を提出するよう求められることがあります。
原始資料を紛失や破棄していると、税務調査では経費として認められない可能性があります。

修繕費に関する税務調査対策

「修繕費」に関する税務調査対策としては、以下のようなものが挙げられます。

①「修繕費」か資本的支出かの区別を明確にする。

②適正な金額で計上する

「修繕費」は、適正な金額で計上し、見積書や請求書などの書類を保存しておき、適正な金額で計上していることを証明できるようにしておくことが大切です。

③原始資料を適切に保管する

「修繕費」を計上する際には、請求書や領収書などの原始資料を適切に保管しましょう。

具体的な対策としては、以下のようなものが挙げられます。

「修繕費」と資本的支出の区分を明確にした台帳を作成。

「修繕費」と資本的支出の区分は、その支出の目的や内容によって判断されます。

「修繕費」と資本的支出の区分を明確にするには、その支出の目的や内容を記録した台帳を作成しておくことが必要です。

原始資料を適切に保管

「修繕費」の原始資料としては、請求書や領収書、工事請負契約書などが挙げられます。

原始資料は、税務調査で提出するよう求められたときに、すぐに提出できるように保管しておきましょう。

◯広告宣伝費

「広告宣伝費」とは、企業が自社の商品やサービスを不特定多数の消費者に対して宣伝するために支払った経費のことです。

「広告宣伝費」も、12月末においての利益調整に利用される可能性があるので、税務調査の際には指摘を受けることが多い経費です。

テレビや新聞などでの「広告宣伝費」は、高額になることが多いようです。

そのために12月に一括して高額な「広告宣伝費」を計上して利益を圧縮することが考えられます。

「広告宣伝費」の場合、一括での支払いの場合でも広告の掲載が数カ月に渡って行われることがあり、その場合は一括での経費計上はできなくなりますので注意が必要です。

「広告宣伝費」には、以下のようなものが挙げられます。

新聞や雑誌、テレビ、ラジオなどの広告費
インターネット広告費
チラシやパンフレット、カタログなどの制作費
イベントやセミナーの開催費
ノベルティや販促品の配布費

「広告宣伝費」が税務調査で問題になる場合としては、以下のようなものが挙げられます。

適正な金額で計上しているか

「広告宣伝費」は、適正な金額で計上する必要があります。

適正な金額とは、客観的な根拠に基づいて算出された金額のことです。

原始資料の保管

「広告宣伝費」を計上する際には、請求書や領収書などの原始資料を適切に保管しておくことが重要です。

「広告宣伝費」と交際費の区別

「広告宣伝費」と交際費は、税務上の取り扱いが異なります。

「広告宣伝費」であれば、原則として費用として経費に算入できますが、交際費の場合支出の限度規定があるため、条件付きでの経費に計上になります。

「広告宣伝費」と交際費の区別は、以下の基準によって判断されます。

その支出の目的:「広告宣伝費」は、自社の商品やサービスの販売促進を目的とした支出です。

交際費は、取引先や顧客との親睦を目的とした支出です。

その支出の内容:「広告宣伝費」は、広告媒体への掲載費や宣伝物の発行費などです。

交際費は、接待費や会食費などです。

「広告宣伝費」に関する税務調査対策

「広告宣伝費」に関する税務調査対策としては、以下のようなものが挙げられます。

適正な金額で計上する
原始資料を適切に保管する
「広告宣伝費」と交際費の区分を明確にする

具体的な対策としては、以下のようなものが挙げられます。

「広告宣伝費」と交際費の区分を明確にした台帳を作成。

「広告宣伝費」と交際費の区分は、その支出の目的や内容によって判断されます。

「広告宣伝費」と交際費の区分を明確にするには、その支出の目的や内容を記録した台帳を作成しておくとよいでしょう。

原始資料を適切に保管

広告宣伝費の原始資料としては、請求書や領収書、広告媒体の掲載証明書などが挙げられます。

原始資料は、税務調査で提出するよう求められたときに、すぐに提出できるように保管しておきましょう。

個人事業主が税務調査になったときに特に調べられる事項は、以下のとおりです。

売上
売上が正確に申告されているかどうかが最も重要です。

経費
経費が事業に必要なものかどうかがポイントです。
事業に関係のない経費を計上していると、追徴課税やペナルティが科される可能性があります。

家事按分
事業とプライベートの境界があいまいな場合、家事按分を行うことになります。
家事按分の方法が適正かどうかがポイントです。

青色申告特別控除
青色申告特別控除を受けるためには、帳簿を正しくつける必要があります。
帳簿の記載内容が適正かどうかがポイントです。

個人事業主が税務調査をされる確率は通常は大変少ない確率です。

しかし、下記のような事例があると、優先して税務調査の対象になることがあ
りますので注意が必要です。

個人事業主が税務調査の対象になる原因としては、以下のようなものが挙げら
れます。

①申告漏れや過少申告の疑いがある場合
税務調査は、申告漏れや過少申告の疑いがある場合に行われることが多く、申告内容に不備や矛盾がある  

②売上や経費の金額が異常に大きい場合
売上や経費の金額が例年と比べて異常に大きい場合、例えば、売上が急激に増加した場合や、経費が売上に対 して異常に大きい場合などが挙げられます。

③現金商売を行っている場合
現金商売は、売上や経費の記録が残りにくいため、税務調査の対象になりやすい傾向にあります。

④過去に税務調査を受けたことがある場合
過去に税務調査を受けたことがある場合、再調査の対象になる可能性があります。

⑤税務署の調査対象リストに載っている場合
税務署は、申告漏れや過少申告の可能性がある事業者を調査対象リストに載せています。

調査対象リストに載っている場合、税務調査の対象になる可能性が高いです。

以上のことから税務調査になる要因は上記のようなものがありますが、売上や経費が急増した場合などはその可能性が高くなりますので、事前になぜ増加したかなどの原因を確認しておくことにより、税務調査になった場合でも、焦らず税務調査を受けることができ、結果余分な追加納税が避けられることになります。

バーチャルオフィス東京・銀座にも個人事業主やフリーランスで活躍されている方も多くいらっしゃいます。

資金的余裕ができてきた方はそれほど心配しなくても、税理士に依頼することにより、安心して税務調査に望むことができますが、税理士に依頼をしてない方は、常日頃より正確な記帳と税務申告をすることにより税務調査の確率は限りなく低くなりますので、心がけることが大切です。

税理士には依頼するほどでないが、個人では知識がないので正確な記帳や申告はやはり難しいと思われる方は、記帳の専門家が格安にお任せで記帳を行っておりますので、是非ご検討ください。

詳細は下記、おまかせ経理記帳代行ページへのボタンをご覧ください。