バーチャルオフィスでの銀行口座開設の現状

2010年代後半から振込め詐欺やマネーロンダリングなどの金融犯罪が増加して法制化が行われ、2011/1には犯罪収益移転防止法が施
行されるなど強化されていきました。

そのような中、2012/7警察庁が銀行協会に対して「銀行口座の開設を厳格にするよう」要請してから一段と厳しさをまし、特にバー
チャルオフィスでは銀行口座の開設が大変困難になりました。

これは、多くの振込め詐欺などの金融犯罪がバーチャルオフィスを利用して行われたことによりますが、それ以降もバーチャルオフィ
スを利用した金融犯罪は増加の一途をたどり、厳しい規制がバーチャルオフィス利用者に突きつけられております。

但し、ここ4～5年前くらいから、バーチャルオフィスでは絶対銀行口座の開設ができないというところから、状況が大きく改善されてきております。

近年では、2019/6に改正資金決済法の施行や、銀行内部の体制強化などもあり金融犯罪の防止策が進んでいるとのこと、バーチャルオフィス業界も犯罪収益移転防止法の遵守など金融犯罪に対する意識向上が進んでいることなどから、銀行側でも徐々に対応が軟化してきていることが伺えます。

口座開設の審査が緩和され、バーチャルオフィスの利用履歴や、取引実績など、事業の実態を重視する傾向が強まってきております。

又、事前に口座開設の条件が明確化され、事前に確認できるようになり必要な準備が行えるようになってきたことなども審査のハードルが下がってきた要因です。

一部のバーチャルオフィスでは銀行と提携し、口座開設の事務の一部を負担したり、又銀行側でもバーチャルオフィスが持っている情報を活用するなどしてお互いの顧客獲得に結びつけている状況などもあります。

このような、ことはバーチャルオフィス利用者の新規の口座開設者に対し不安を軽減することには大いに役立ってはいるが、銀行での審査内容まで軽減するものではなく、新規の口座開設に必要となる書類やエビデンスの準備は当然必要になります。

銀行側の新規の口座開設に対する不安は、金融犯罪に自行が巻き込まれるのではないかということです。

リアルな事務所を利用している方からの新規の口座開設申出でであれば、銀行サイドとしては不安があれば直接事務所に訪ねていき事務所内の様子や周辺の環境などを確認することにより、正確な判断材料を得ることができると思いますが、バーチャルオフィスの場合、バーチャルオフィス住所に訪ねて行っても、そこに事務所の実態があるわけでないので判断材料を得ることはできません。
そのため、リアルな事務所を利用している人以上に事業の実態を説明するための取引先の情報、資金の流れ、スタッフや役員、株主などの人的内容についても事前に準備をする必要があります。

例えば、バーチャルオフィスでも固定の電話番号を利用する。又、事業実態がわかるようなホームページなどの作成なども大切な準備になると思います。

基本的には、どのような事業実態であるかの事業計画書、どのような業務を行っているかを説明するための取引先の内容、売上の内容、仕入先の内容、それに付随する支払い情報や請求書や納品書、領収書類又は取引のための基本契約書などの準備が必要です。

これらの、書類の提出と個人名義での銀行預金の流れなどの整合性などを説明することにより、銀行サイドでの不安も徐々に取り除かれていき、結果新規の銀行預金口座の開設の確実性が増します。

これらの準備ができていれば、口座開設についてそれほど心配することはありません。上記でも述べましたように銀行側は口座開設者の事業実態について調査し、事業実態があると認め、かつ金融犯罪に関係する企業でないことの確信が持てれば、かなりの確率で新規の預金口座開設の承認が出ると思います。

又、新規の口座開設のテクニックとして、メガバンクの場合は、新規の口座開設のハードルがネット銀行などと比べると弱冠高いと言われております。

そのため、メガバンクの新規口座を最初から申込むのでなく、比較的口座開設の可能性が高いネット銀行での口座開設を行い、その実績を持ってメガバンクの口座開設を行うと比較的開設の可能性が高いと言われております。

ネット銀行は、他の銀行と異なり、判断材料を現地に出向いて得ることができないため、ネット上での情報取得のノウハウが蓄積されているのかもしれません。そのため他の銀行より短い時間で、開設の可否が出るなどするので、開設がダメであった場合でも、何が不足していたのかなどの対策を講じることも可能ですので試してみる価値はあるかもしれません。